特例有限会社が株式会社へ移行するには、商号を変更をするため定款の変更が必要です。
そして定款変更するためには株主総会の決議が必要となります。
それではまず、定款を作成するのに必要な決まりごとを作成例と一緒にご紹介します。
注:こちらは取締役会を設置しない会社です。
株式会社の定款の書き方や記載事項
定款を作成するにはいくつかの決まりごとがあります。
記載事項としては以下の3つがあります。
➀ 絶対的記載事項
➁ 相対的記載事項
➂ 任意的記載事項
各項目を掘り下げていきます。
➀ 絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければいけない事項です。
この記載がなければ、定款自体が無効となります。反対に記載すべきでないのに記載した場合も無効になってしまいますので注意しましょう。
(1) 目的
(2) 商号
(3) 本店の所在地
(4) 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
(5) 発起人の氏名又は名称及び住所
(6) 発行可能株式総数
➁ 相対的記載事項
記載することによってその効力が生じる事項です。記載しなくても定款は成立しますが、決まった事項は必ず記載するようにしましょう。
(1)公告方法
(2)株式の発行・不発行や譲渡制限に関する事項
(3)株主総会の決議の方法
(4) 取締役の任期の伸長・短縮 等その他多数
➂ 任意的記載事項
上記2つの記載事項以外に公序良俗または会社法に反しない限り、定めることができる事項です。
(1) 株主総会の招集時期
(2)事業年度
(3)取締役の人数 等その他多数
以上が定款に記載する事項の主なものです。
次に記載例と注意事項をご紹介します。
株式会社の定款の記載例
定款は1枚目に表紙をつけて綴じます。
【表紙】
〇〇〇〇株式会社
平成〇〇年〇〇月〇〇日 作成
【定款】
第1章 総則
(商号)
第1条 当会社は、〇〇〇〇株式会社と称する。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。 ※1
1.〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2.〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3.〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
4.前各号に附帯関連する一切の事業
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を東京都〇〇区に置く。 ※2
(公告方法)
第4条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
今後行うであろう事業内容はこの時点で登記したほうが良いです。
ただし、実際に予定している事業を登記してください。
他者が登記を確認した時に事業内容がバラバラだと信用のない会社とみなされます。
※2 登記は区までで問題ありません。
(発行可能株式総数)
第5条 当会社が発行することができる株式の総数は、1000株とする。 ※3
(株券の不発行)
第6条 当会社の株式については、株券を発行しない。
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の発行する株式を譲渡によって取得するには、株主総会の承認を要する。
(株主名簿記載事項の記載又は記録の請求)
第8条 株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求する際は、当会社所定の書式による請求書に、その取得した株式の株主として株主名簿に記載もしくは記録された者、又はその相続人その他の一般承継人及び株式取得者が、署名又は記名押印しなければならない。ただし、次の場合は、株式取得者が単独で請求することができる。
(1) 株式取得者が、取得した株式の株主として株主名簿に記載又は記録された者又はその相続人その他の一般承継人に対し、株主名簿記載事項を当会社に記載又は記録すべきことを命じた確定判決を提供して請求するとき。
(2) 株式取得者が上記①の確定判決と同一の効力を有するものの内容を証する書面その他の資料を提供して請求するとき。
(3) 株式取得者が、その取得した株式の株主として株主名簿に記載又は記録された者の相続人その他の一般承継人であって、これを証する書面を提供して請求するとき。
(4) その他会社法施行規則第22条第1項に定めるとき。
(質権の登録及び信託財産の表示)
第9条 当会社の株式について質権の登録又は信託財産の表示を請求するには、当会社所定の書式による請求書に当事者が署名又は記名押印しなければならない。その登録又は抹消についても同様とする。
(基準日)
第10条 当会社は、毎年〇月末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することのできる株主とする。
2 前項のほか、株主又は登録株式質権者として権利を行使することができる者を確定するために必要があるときは、臨時に基準日を定めることができる。ただし、この場合には、その基準日について2週間前までに公告するものとする。
※3 こちらも後日変更するには手続きと印紙代がかかります。
現段階で発行しなくても、発行が可能な株式数として登録しました。
(招集及び招集権者)
第11条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度終了後2か月以内に招集し、臨時株主総会は、随時必要に応じて招集する。
2 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役が招集する。
3 株主総会を招集するには、会日より5日前までに、議決権を有する各株主に対して招集通知を発するものとする。ただし、議決権を行使できる株主全員の同意があるときはこの限りではない。
4 前項の招集通知は、書面ですることを要しない。
(議長)
第12条 株主総会の議長は、代表取締役がこれに当たる。
2 代表取締役に事故又は支障があるときは、当該株主総会で議長を選出する。
(決議の方法)
第13条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。
(総会議事録)
第14条 株主総会における議事の経過の要領及びその結果並びにその他法令に定める事項は、議事録に記載又は記録し、議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、株主総会の日から10年間本店に備え置く。
(取締役の員数)
第15条 当会社に、取締役1名以上〇名以内を置く。
(取締役の選任)
第16条 当会社の取締役は、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議によって選任する。
(取締役の任期)
第17条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時までとする。
(社長及び代表取締役)
第18条 株主総会の決議によって取締役を2名以上置く場合は、代表取締役1名を選定する。
2 代表取締役は社長とし、取締役が1名のときは、その取締役を社長とする。
3 社長は、当会社を代表し、会社の業務を統括する。
(事業年度)
第19条 当会社の事業年度は、毎年〇月1日から翌年〇月末日までの年1期とする。
(剰余金の配当)
第20条 剰余金の配当は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主及び登録株式質権者に対して行う。
(配当の除斥期間)
第21条 剰余金の配当が、支払いの提供をした日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払義務を免れるものとする。
第6章 附則
(法令の準拠)
第22条 この定款に規定のない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。
上記は当会社の現行定款と相違ありません。
平成〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇〇〇〇〇株式会社
代表取締役 〇〇 〇〇 ㊞
まとめ
以上、定款の作成方法でした。
アドバイスいただいた内容もメモとして書いてありますので参考にしてください。
記入例はいろいろなサイトで紹介されていますので
ご自分の会社の業務内容にあったフォーマットを参考にされるのが良いと思います。