社員の退職手続きの中でも退職者が早く欲しいのが離職票。
でも時給社員やパート社員の離職票は計算がちょっとややこしいですね。
でも要点を押さえてしまえばけっこう簡単に、すぐに作成できてしまいます。
こちらでは自己都合で退職されるパート社員の離職票の書き方を分かりやすく説明します。
間違いやすい記入場所や基礎日数の数え方も記入例をつけるので、初めての方でも安心して作成できます。
退職後にトラブルにならないように、正しい書き方を覚えてしまいましょう。
パート社員の離職票の書き方ポイント
離職票を書く時に用意する物
◇ 雇用保険被保険者離職証明書
離職票はA3サイズの3枚複写の用紙です。
1枚目:雇用保険被保険者離職証明書(事業主用)
2枚目:雇用保険被保険者離職証明書(安定所提出用)
3枚目:雇用保険被保険者離職票-2
用紙はハローワークでもらうことができます。
◇ 退職者の賃金台帳
退職日までに支払った賃金が載っているもの
◇ 退職者の出勤簿又はタイムカード
出勤日数を数えるのに使います。
離職票の書き方と記入法
お手元の離職票を見てください。
まず記入する場所と内容を説明します。
ここで全部分からなくても大丈夫。
後で難しい個所は説明しますので、ざっと見てもらえばOKです。
① | 被保険者番号 | 雇用保険資格取得届に記載されている番号 |
② | 事業所番号 | 雇用保険資格取得届に記載されている番号 |
③ | 離職者氏名・フリガナ | 退職者の氏名・フリガナ |
④ | 離職年月日 | 退職日 |
⑤ | 事業所 | 会社の名称・住所・電話番号 |
⑥ | 離職者の住所又は居所 | 退職者の住所・電話番号 |
事業主 | 会社所在地・代表者名 | |
※離職票交付 | ハローワークが記載するので記入しない | |
離職日の翌日 | 退職日の翌日 | |
⑧ | 被保険者期間算定対象期間 | 退職日から1か月毎に遡った日を記入 |
⑨ | ⑧の期間における賃金支払基礎日数 | 1か月の出勤日数 |
⑩ | 賃金支払対象期間 | 1か月の給与〆期間 |
⑪ | ⑩の基礎日数 | ⑩の出勤日数 |
⑫ | 賃金額 | B欄に記入 |
⑬ | 備考 | 1行目に「未計算」と記入 |
⑦ | 離職理由(右ページ) | 5-(2)にチェック |
⑦ | 具体的事情記載欄(右ページ) | 「一身上の都合により退職」と記入 |
離職票へのパート社員の基礎日数の書き方
さて、ここからが一番悩みがちな⑧以降の記入方法について解説していきます。
「被保険者期間算定対象期間」と「基礎日数」の書き方
算定対象期間は退職日から1か月毎に遡って日にちを記入していきます。
左欄に記入した期間に何日出勤したかを数えます。
手作業で数えるので大変ですが、出勤した日を数えるだけ。
雇用保険の受給資格があるかどうかを確認する欄になるので、正確に記入しましょう。
【例:11月30日退職の場合】
⑧被保険者期間算定対象期間 | ⑨ ⑧の期間における賃金支払基礎日数 |
||
A 一般被保険者等 | B短期雇用特例被保険者 | ||
離職日の翌日 | 12月1日 | ||
11月1日~離職日 | 20日 | ||
10月1日~10月31日 | 19日 | ||
9月1日~9月30日 | 21日 | ||
8月1日~8月31日 | 20日 | ||
7月1日~7月31日 | 21日 | ||
6月1日~6月30日 | 19日 |
↑↑この期間に何日出勤したかを⑨欄に記入。
6/1~6/30=19日出勤
7/1~7/31=21日出勤
たとえ数時間しか勤務していなくても賃金が発生していれば1日とカウントします。
暦日数ではないので注意しましょう!!
「賃金支払対象期間」と「基礎日数」の書き方
ここでは給与の〆日で1か月毎に遡って日にちを記入していきます。
ここでは給与の〆日翌日から〆日までの一か月に出勤した日数を記入します。
要はお給料の支払いベースになった日数ですね。
賃金台帳に載っている出勤日数をそのまま記入すればOKです。
それでは記入例に移りますね。
11月30日退職者の例で説明していきます。
【給与が月末〆の場合】
⑩賃金支払対象期間 |
⑪ |
⑫賃 金 額 | ⑬備考 | ||
A | B | 計 | |||
11月1日~離職日 | 20日 | 197,410 | |||
10月1日~10月31日 | 19日 | 186,220 | |||
9月1日~9月30日 | 21日 | 210,330 | |||
8月1日~8月31日 | 20日 | 196,760 | |||
7月1日~7月31日 | 21日 | 200,800 | |||
6月1日~6月30日 | 19日 | 199,950 |
給与が月末〆で月末退職の場合は
「被保険者期間算定対象期間」=「賃金支払対象期間」
となり、⑨と⑪の基礎日数も同じ日数になります。
⑫賃金額はB欄に社会保険料や所得税を引かれる前の金額を記入します。
【給与が20日〆の場合】
⑩賃金支払対象期間 | ⑪ ⑩の基礎日数 |
⑫賃 金 額 | ⑬備考 | ||
A | B | 計 | |||
11月21日~離職日 | 7日 | 未計算 | |||
10月21日~11月20日 | 20日 | 189,320 | |||
9月21日~10月20日 | 22日 | 223,120 | |||
8月21日~9月20日 | 22日 | 209,780 | |||
7月21日~8月20日 | 19日 | 200,130 | |||
6月21日~7月20日 | 18日 | 198,580 |
最後の給与は計算前なので「未計算」と記入します。
「被保険者期間算定対象期間」≠「賃金支払対象期間」
となり、⑨と⑪の日数は異なっていて大丈夫です。
6/21~7/20=18日出勤して給与が198,580円だった
7/21~8/20=19日出勤して給与が200,130円だった
(給与額は社会保険料や所得税を引かれる前の額)
という内容のことを⑩⑪⑫の項目で表していくんですね。
まとめ
離職票を作成する時は、退職者の「賃金台帳」と「出勤簿」又は「タイムカード」を用意します。
「被保険者期間算定対象期間」は正社員と違って出勤日数になることに注意しましょう。
また、退職日と給与の〆日が違う日の場合は基礎日数が異なることも覚えておくと良いでしょう。
あとは「賃金台帳」と「出勤簿」に書かれている通りに数えて記入すれば良いので一度覚えてしまえば簡単に作成できます。
ハローワークでも訂正してくれますが、訂正ばかりの離職票を退職者に渡すのもちょっと恥ずかしいですよね。
ポイントが分かれば時間もかからず手続きが行えますので参考にしてください。